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2月です

蝋梅2月です。たぶん毎年同じように思い、同じようなことを書いている気がするのですが、1月も2月、早いな、やはり、行く、逃げる、だな…。特に2月は個人的には確定申告に頭を悩ませ、どんどん時間を削られていく。今年からはインボイスのため更に訳がわからない…。しかもパソコンがおかしくなっておそろしくつまずいた。結局買い替えに至る、と、まあひとつひとつ何とかクリアしながら春に向かう…感じです。
(河野さん、また月末になってしまいました…((+_+))

パソコンの整理をしていて、以前書いた文章のデータが目についた。「目の前の微かな動きに感応したとき歌が生まれることは多い。ふと気づいた花の色や鳥の声、日差しや気温、周りの人の服装や言葉や仕草。ごく些細な変化を見逃さなかった目がそこにある。それはよく見ようと意識していたからと言うことでなく、結果論としてそうであったということなのだと思う。対象の持つ意味に思わず反応できるということは、打者が球に反応する身体能力を持っていることに通じるだろうか。歌を作る者としての反射神経のようなもの、アスリート同様訓練して磨く術があるなら知りたい。」2014年執筆のもの。今も思いはかわらない。(竹内敬子)

「青南」2014年3月号より
 眠り浅き夜のとば口にてぞろぞろと百鬼夜行のわれを苛む        内藤 正泰
 かく薄くリンゴの皮を剝きたりと見せたき妻は早く亡きかも       伊藤 安治
 雪降らぬ年の瀬となり通りまで歩いて見ようか終の名残りに       山口 久雄
 伊藤でない佐藤でもない近藤とふ医師の名前が出て来なくって      松尾 鹿次
 別れの予感ある日々を重ねつつ今日は春咲く球根を植う         戸田 紀子
 酒二合飲めば其の場に肘枕妻は毛布を掛けくるるなり          上山 篤義
 一夜明け朝の光の中に立つ百三歳へ踏み出す一歩            谷河八千代
 なほみどり残る橙幾日か炬燵の上にありてあるまま           堀江 厚一
 一枚の羽はいつしか失せにけり夢のつづきを思ひ出せない        吉沢 真理
 おばあちゃん長生きしてねと言ふ少女けふは二人でシューマイつくる   山内たみ子
 秋長けて午後二時半の日のひかりうどん屋の前を通り過ぎたり      伊東 芳子
 少しだけ笑ったやうな母の顔玄関前に停める車内に           平尾 輝子
 語り出す息子の夢を最後まで今日はゆっくり夫と聞き居る        永田 和子
 寒い日は母も作りしケンチン汁風が窓打つ厨に立てり          宿利はるえ
 丹田に息を沈めて平常心待てど虚しく夜は更けゆく           横山 昭夫
 満天星の紅葉輝く並木道見惚れ歩みて果まで来たり           渡辺  涓
 心きめ乗りし電車の窓の外枯草色の畑がすぎゆく            富田 陽子
 霜柱のうすく立ちたる庭の道踏めばさくさく滅びゆく音         石井 久江
 幸せな時も少しはあったはず二人の祖母のこと思ふたび         伊藤 章子
 送別会に満つる空気の穏やかさこの人の横はいつもさうだった      田井 恵子

1月です

南天2024年は大変な始まりとなりました。被災地及び関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。心痛む映像を見るばかりで何もできませんが、会員の皆さん、いかがお過ごしかと案じています。
青南はラストイヤー。いかに過ごすのか、改めて自分に問う日々です。目先の仕事をひとつひとつ片づけては、疎かになっていることを思い出しては何とか始末しては、また他を思い出す…。何でこれまだやってないんだ、と自分に呆れることも多いです。この時期は自分の仕事も重なりが多く、確定申告等の事務仕事もあり、何やら追われるばかりです。いろいろな意味で早く春になってほしいですねえ。(竹内敬子)

「青南」2014年6月号より
 人みなの有りやうの如吾もまた歌の出来なくなる時が来ぬ     清水 房雄
 寒ければ部屋にて待ての戒めを忘れてこの朝雪は晴れたり     内藤 正泰
 大切な人への礼状怠りてひと日が過ぎて又ひと日過ぐ       清水  香
 心静かになりたる時に窓近き冬木の枝は光りてをりぬ       逸見喜久雄
 小さき旅帰りきたりて安らふは終の住処の西に向く窓       鈴木 登代
 二人のみそれでも家族この朝は並木の桜の蕾話して        梅沢 竹子
 老いて尚桃の節句を楽しまむ桜餅など買ひにやらしむ       庄司ゑい子
 白内障手術五分で終りたり五分で宇宙が眩しくなりぬ       前川 昭一
 遠き日に折れし腓骨のうづく夜をうとうととして真珠売る夢    河合婦美枝
 新しき万年筆のためし書きためらはず書くわが名幾たび      尾形 冴子
 ガスボンベ担ぎし男庭過ぎる青む冬草踏みしだきつつ       谷河八千代
 雨は霙に霙は雪に変りたり屋根の形がさみしくてならず      海野 美里
 空くうくう空くうくくう何を告ぐしばし息止め鳩はまた鳴く    今泉  操
 雪の山とけてあらはれたる枝に紅のほのかやアシビほのかや    堀江 厚一
 春の雨手植ゑし玉葱潤して緑増しつつ丈高くなる         藤井冨美子
 冬枯れて緑残れり丈低きそらまめゑんどうキャベツ幾株      川上 幸子
 懐かしき町は混み合ひ人で満ちはぐれぬやうに夫の手握る     十河 俊子
 さびしくてたまらなくなり窓に来て三階より見る下行く人ら    田中 和子

12月です

クリスマスずいぶん寒い毎日です。皆さん、特に日本海側の会員の皆さん大丈夫でしょうか、案じています。
気が付けばすっかり年末となり、掃除のついでについ「大分青南」が目に入り、あれ私こんなこと書いていたのか、我ながら熱いな、と。それは「青南」2016年4月号を読んでの評でした。一部再録しておきます。

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  認め難き安保法制なれば来て立ちぬ冷えくる足雪を踏みつつ   河野 政雄
平和安全法関連2法は、ついにこの3月に施行されてしまった。法制に反対する思いを中心に多くの歌が作られてきた。スローガンのような歌は背景とは別問題で、どうも…。社会詠、時事詠の難しさは常に考えてみるのだが、特に政治的背景が色濃く体制に物申したいときの作者の正義感や正当性といったものが詩にはそぐわないということを作者が一番見逃しやすい。言いたいことが強くあるために客観的に自分の歌を見ることができなくなる。
で、この歌の下句の描写は歌を立たせ私を引きつけ、多数の心に届くものとなっているのではないだろうか。実際の強さである。うまいとか、いい歌とか言うのではないかもしれない。むしろ構成的には疑問である。どこで切るのだ。初句六音、二句は「安保法制」までか、「安保法制なれば」までか。後者とすると四句は六音となり不安定で何故助詞をはぶくのだと思うが、「なれば来て」を三句とすれば四句にまたがり、四句は割れてまた五句にまたがる。もしかしてその完全なる破調をもって思いをかぶせたのかと深読みしてしまう。リズムの悪さが、認め難きという思いに重なり、この不気味な法案の影として見えてくる。一方でこの「認め難き」がない方がもっとよくなったのではないかとも思う。認め難き思いがない者が雪の中に立ったりはしない。下句で十分なのだ。など思いつつ、くり返し読んでみた。「立ちぬ」までをひと息に読み、あとをゆっくり読むと味わいが変わることに気付く。実はいい歌と呼びたくなってきている。
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さて、今年もあと1週間。いろいろありましたが、何とか終えようとしています。どうぞ来年一年共に詠い合えることを願うばかりです。一年どうもありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いいたします。(竹内敬子)

「青南」2016年4月号より
 不自由に生くるも定めと納得す齢一白何を今さら          清水 房雄
 おのれ一人の老の夕餉をあれこれと考へ作る時もありけり      鈴木 登代
 モチの木を越えたる月が真夜中のひとつの色となる前のとき     堀江 厚一
 わづかなる熱も気力とふり払ひえんじのセーター着ていでてゆく   梅沢 竹子
 寝ねて闇覚めても闇のわが世界おのれ燃えねば闇は明けざる     山本 吉徳
 平凡な事ながら炊事も三十年妻逝きはやも二十七年         高木  正
 帰る日を待ちて手摺を壁毎につけし離れに吾ひとり住む       三輪 昭園
 告ぐる人なければ早目の湯に入りて今日の喜び思ひて眠る      長弘 文子
 稜線を真紅に染めて明けてゆく空美しき起きねばならぬ       海野 美里
 消さむかと迷ひつつ持つ一首には鉛筆のあと薄く残れり       福島 五月
 頑張らなくてもいいと自分に言ひ聞かせ座椅子に昼の仮眠をとりぬ  松本 令子
 人一人歩ける巾だけ雪をかく老いたる一人の生きゆくための     𠮷町 博子

11月です

2023紅葉11月です。
急に寒くなりました。先日長野に行ったのですが、紅葉のバックは雪模様という景色に出会い、西に住まう者には何とも珍しい眺めでした。
平地は紅葉が美しく少し高いところは黄葉が続き、その上は墨絵のように薄い雪模様、そして高山は真白く雪を冠っていました。車で少し奥地の神社に行けば雪積もる道を歩かねばなりません。大阪の町なかではまだ上着のいらない日もあったので、なおのことギャップにとまどいました。西では紅葉より先に街にはイルミネーションがまたたきはじめています。大阪はこれからが紅葉の盛り。でもまあだらだらとした暑さの果てなので、あまり美しい紅葉ではなさそうです。季節は移ろい、日本は広い、思いは遥々。(竹内敬子)

「青南」2016年8月号より
 我のほか見る者の無きホウチャク草犬走りにて咲き散りにけむ      清水  香
 しろじろと桜の花弁渦巻ける横断歩道を渡りきりたり          逸見喜久雄
 水うまし豆腐うましと富士見野に共に楽しみし時はかへらず       今福 和子
 指し示す友のふるさとかすみつつ色さまざまに若葉よろこぶ       堀江 厚一
 花すぎし馬鈴薯は土に太りゐむ畑に五月の日のふりそそぐ        梅沢 竹子
 胸熱く読みたる憲法九条も兵たりし日もとほくなりたり         松尾 鹿次
 触るるのみにたはやすく点く灯の下にアララギ読めば寂しくもなし    高木  正
 陽を浴びて登りつめたる首里城に南蛮の風強く吹き上ぐ         前川 昭一
 わが後をつかずはなれず来る猫も落葉かすかに樟の下道         今泉  操
 腰抜けは腰抜けなりに地を這へるうたを作らばたのしかるらむ      伊藤 和好
 三十年乗りしマイカーの鎮まれる車庫に晴れたる夏の日は照る      塩崎 厚吉
 論は論命は命さもありて重なる世界を歩む被災地            瀧本 慶子
 平気だと言へば平気に見えるからそのやうにして二年を過ごす      竹内 敬子
 母の日よ植物園へと娘の声正門へのあの欅道歩けるかしら        上柳 盈子
 伝染性なしと聞きにき夫逝きて今日わが肺に小さきくもり        伊藤登久子
 苗床に玉蜀黍の苗は伸び風のまにまのみどりはやさし          山本 靖彦
 花咲くたび鳥鳴くたびに悲しけり喜ぶ母の声は聞えず          吉沢 真理
 ドクダミの花が広ごる庭隅は今しばらくはそっとしておく        木村 玲子
 朝の陽の光眩しとカーテンを引く老いあれば開く老いあり        竹田スミコ
 乾きたる畑うるほす雨のあり農を休みて草餅作る            野口久仁子
 それぞれに履き慣れし靴を見せ合ひぬ君はプラダの黒き一足       伊東 芳子
 新しき運転免許証手に取りて無事故無違反心に誓ふ           中津留初枝

10月です

2310特別歌会10月です。いや10月の終わりです。
7日・8日にアルカディア市谷において特別歌会が開催されました。24名の申込みでしたが2名の欠席があり22名の参加となりました。
今年は天候に恵まれ暑さも少し落ち着いており、歌会を中心とした日程を予定通り滞りなく終えることができました。歌会のあとは急に気温が下がり、やっと秋の様相かと思えば、急に朝晩は冷え込む日まであるという冬も間近な様相、身体がついていきません。
さて、特別歌会で発表され、11月号でも告知のように来年12月で終刊となる旨、公にできたこと、個人的にはよかったと思います。何年も話し合い語り合い、考えた結果のことであり、もういつ伝えるかだけの問題でしたから。
伊藤さんの心労を思えば、これも発表できてよかったと思います。もちろん、終刊をよかったというわけにはいかないのは承知のことで、会員の皆さん、それぞれの思いを受け止めるには無理があります。会員の数だけ思いがあるし、運営側には相応の思いがある。
金銭的なもの、関わる人財のこと、どこを踏んでも無理なものは無理、ということをご理解いただきたいと思います。
あと一年をしっかり精一杯務めたいと思います。(竹内敬子)

「青南」2015年3月号より
 低ぞらに漂ふ雲の切片を黄に染めし日の忽ち沒りぬ           清水 房雄
 外に置く自転車に雨降りそそぎ何かあはれになりて見てゐる       清水  香
 苦瓜のつるにかすかに風いでて時の間させる夕べのひかり        豊田 純子
 牡蠣筏浮く所にも鴨のゐて飛び立つ時にゆらゆらとする         河合婦美枝
 霜にかがやく畑の麦は凍て土に張りつくままに冬を越すべし       尾形 冴子
 プラスチックの食器にスプーン使ひゐる老健ホームの昼餉する音     海野 美里
 肘川に架かる赤橋てのひらに軽くたたけば鋼鉄の音           今泉  操
 湯上がりの髪に冷たく風通り聞いてないとか言った筈とか        小出美恵子
 独り書く夜の静まり逡巡しやがて高揚してゆく指先           竹内 敬子
 普通にあれ普通であれといふ声す黄葉がちる日が寒くなる        堀江 厚一
 思ひ来し程にはここも安からず語調やさしくさとされてゐる       三輪 昭園
 やうやくに冷たき風の収まりてはうれんさうの中の草取る        村上 良三
 夕暮れの空に写れる千切れ雲雲は動かず幾つも浮ぶ           三輪 武士
 かへり花梢に一輪今朝はみる恋し人にまた会へるかも          井深 雅美
 風のなき朝空青く澄みわたり鳶が鳴きつつ窓よぎりたり         西本すみ代
 遅れゆく夜明けを待てず星空を仰ぎてしめぢの小屋に入りゆく      倉科 悦男
 寒き日に仕事休みて家籠る我にもできるシャツのアイロン        小川 英記
 緑濃き樹々の匂ひの流れ来る部屋に独り居て寂しくてならぬ       山本名嘉子
 昼ながら小暗き部屋に茹でて赤き川蟹の絵を掲げてみたり        十河 滋子
 夜風浴びホテルの灯りに包まれて歩む浜辺にわれを放てり        西川  操
 老いたれど口に紅差し午前九時車を待ちて庭に立ちたり         橋本津多子
 股関節病みゐる夫よハタハタの漁近づけば無口になりぬ         佐藤 昭子
 良きことのありますやうに新しき五年日記を今日求めたり        伊藤 章子
 湯気のたつきぬかつぎ皿に盛り上げて眼鏡をはづし我は食ひたり     板橋 節子
 珍しく手書きしてゐる娘の指をそっと見つめる久しく触れず       大塚 道子
 ブックオフに売りし本代五百円大きな苺食卓に乗る           吉田美代子
 若者が車椅子にてぐいぐいと坂登りゆくに見とれてをりぬ        吉町 博子
 独り居の声出すこともなかりしと手すり伝ひに夜の階のぼりゆく     菊地 葉子

9月です

百日紅9月です。例年なら暑さもおさまりってところですが、どうもまだそんな感じでもなく、やっと朝晩しのぎやすくなったという程度。ただ例年より暑くても、炎暑に慣れた身には秋が来たような気にもなるという、逆説的な9月の末です。
先日久し振りに近畿の歌会が開催されました。なかなか集まることができず、長らく紙上でのみの交流だったので、対面の良さが殊更に感じられました。やる気はあっても諸事情でできない、ということはもうほんとに悲しみ以外の何物でもないわけで、皆がほんとうに嬉しそうにお話しているのを見ると、ああよかったと思いました。
懸念の来年の計画も終え、二三のNGを乗り越え全月の執筆者が決まりなんとか整いました。これもほっとしております。
そして、いよいよ来月は特別歌会が開催されます。天候やら交通事情やら何事もなく皆さんが参集できることを願うばかりです。(竹内敬子)

「青南」2015年9月号より
この庭に色ある物のただ一つ臘梅の花黄の鮮やかに           清水 房雄
奥の二階照らしゐたりし夕日消え程なく五六軒の路地は暮れゆく     清水  香
送り来し古書目録の一二冊心を惹けど読む間残らず           伊藤 安治
命日はきのふ過ぎたりしろじろと野バラは垣になだれ咲きつつ      今福 和子
目覚め良く体操をする窓外にしきりにゆるる八つ手白花         豊田 純子
をりをりは姿見せつつ鳴き交す藪の中なる二羽のうぐひす        松尾 鹿次
窓ゆ入る梅雨吹く風の涼しきに一枚重ね晩酌をせむ           塩崎 厚吉
上を見よ五月の空は澄み渡る憂ひ哀しみ何処にか在る          谷河八千代
桐の花高々と開く五月なり連れたる孫は口笛を吹く           海野 美里
百年を過ぎて変らぬ切れ味を誰に伝へむ小さき鋏            長田 光枝
何をしてゐるでもなくて梅雨の窓閉めれば暑い開ければ寒い       竹内 敬子
窓一杯つつじの花はこぼれ咲く母はもいちど立ち上がらうとす      吉沢 真理
窓近きベッドに母と肩並べ答の出ない未来を語る            藤井 博子
妻とわれ共に病みゐて何を食ふ今朝はわが起き先づ白湯沸かす      荒木 英市
目眩して厨に膝を着きてゐつ鍋にふつふつカレーの煮ゆる        外園 治子
梅雨入りの近づく朝冷え冷えと居間の炬燵のコードを差しぬ       石神冨美子
ベランダの夫のサンダル日々に履き在りし日のごと四年過ぎたり     大塚 道子
ひょっとして九十歳迄生きるかも片足立ちのリハビリをする       小関 辰夫
潰さうか見守らうかと迷ふうち脚長蜂の巣のできあがる         平尾 輝子
夫ゆき十年となる表札はそのままかけて十年となる           平田 静子
雨の日は鬱々として術もなく越路吹雪をひたすらに聴く         加藤 公子

8月です

瀬戸内海8月です。というか、今日は8月末日です。気づけばもう末に…。なんせ、今月中にやらなければならないことが多すぎて…。
来月の文明鑑賞用の執筆、来年の小市合評・文明鑑賞の計画、特別歌会の名簿・詠草集の作成、特別歌会の企画の原稿整理、次の作品評者の推薦、やまびこのすきま記事…。
昨日、仕事帰りにコピーセンターに行ってガーガーガーとコピーしているときは、ちょっとした達成感がありましたが、考えてみれば週末に詠草集の製本発送する方が大事なので、まだ安心はできず…。でも気持ち的には山は越えた、かな。
そして、執筆依頼をした方々は今頃、ああ厄介なものが来たぞと思っていらっしゃる頃でしょうから、申し訳ないと思いつつ、返信をお待ちしているわけです。
暑さのまだ続く予報です。どうぞ皆さんご自愛ください。(竹内敬子)

「青南」2014年1月号より
鋲で止めしルオーをさながらに狙いひし如く光さし込む        清水  香
誰もかれもゐなくなりたりやうやくに秋の風吹く窓辺にしばし     鈴木 登代
腰おろす膝に日差しの暖かく緑の表紙の本を開きぬ          戸田 紀子
宮城野に一番丁にきらきらとこぼれむばかりにポエムはあるぞ     根本  正
乾きたる団栗踏めば乾きたる音して茂吉の歌碑をめぐりぬ       森田  溥
花束の花の命はそれぞれに残りしひとつ竜胆の藍           谷河八千代
通ひたる平塚駅を通過する逝きて四年はまたたく間なり        長田 光枝
俺はまだ七十六歳こんな分厚い座布団に坐る心地になれず       監物 昌美
夕明かり忽ち消えて買物の帰りは点す自転車のライト         谷生美砂子
蕗畑の隅に残せる青紫蘇が草引く体に触れて香るも          倉科 悦男
さす日傘の影の中に身を入れて家まで続く坂のぼりゆく        佐々木美智子
二日間検査のために酒休み殊の外旨し三日目の酒           神田 俊三
灯のもとに今宵ゆっくり語らへば娘といふはまこと優しき       大塚 道子 
蒼き富士かなたに見えて孫ふたり組立体操きびきび動く        前島沙江子
勤めより帰りくる子は朱き実のアケビ一房下げてくる         梅木日出子
家中をクルクルワイパーで拭きてゆく車椅子にて方向変へて      鈴木 榮子
掌に食後の錠剤転ばせて七つの数と色を確かむ            槇山 綾子

7月です

梅花藻7月です、じゃなくて、7月末日です。気が付けばもう終わる…。実はこの暑さで体調を崩し、しばらく寝込んでいました。もう大丈夫かなと思うのですが、実に夏はこれから…、私何をしているのやら。皆さん、この異常な高温続きの毎日、いかがお過ごしですか?どうぞお大事になさってください。
これからは特別歌会の準備となるわけですが、危ぶんでいたもののどうにか昨年と同じくらいの人数で開催できそうで、ほっとしています。皆さんが暑さを乗り切り無事参集していただけることを祈ります。
先月東京に行った折りに何年振りかでお会いできた会員の方と話しができましたが、一番の話題は添削のことでしたし、歌会においてもこの歌は手が入っているのかいないのかが話題となり、皆さんの心にいつも引っかかているものがあることに改めて向かわされました。
2015年11月号から2016年1月号に3回にわたって「土屋文明晩年の選歌」というシリーズを堀江さんが書かれています。そこには土屋文明の添削例が克明に記載されています。これは全会員に読み返していただきたいものです。私たちにはもちろんですが、選者のバイブルといってもいいだろうな、と思いました。

「青南」2015年12月号より
高原の雨雲の下飛ぶ鷺の大き二つのかげを見送る            今福 和子
窓ガラスへだてて車の中と外声なくただに見つめ合ひたり        豊田 純子
もっと削れもっと削れと繰返し言はれたる日もとほくなりたり      松尾 鹿次
街あかり雨の甲州街道を京王電車が横切りてゆく            戸田 紀子
紅き石青き石あり谷底の流れに沈む地球の断片             尾形 冴子
さむざむと雨の強まるにもあらね帽子を出して深くかぶりぬ       伊藤 和好
浴槽にて眠ってなんかゐないぞと唄ふ唱歌をとぎれとぎれに       古島 重明
安保法いかに説くとも来る日来る日雷管にはりつきし少年まだ生きてゐる 堀江 厚一
汗の染み黒くなりたる麦わら帽子被りて今朝も畑に出で行く       福本 和夫
小さき手は小さき手の音産土の神に響けり茅の輪くぐりて        井上由美子
うたた寝の夢に会ひたる亡き夫はつば広帽子被りゐたりき        外園 治子
心わづか昂ぶりながらこの部屋に午後は退院の飯を食ひゐる       横山 昭夫
青空に豊かに実る幾百の紅き林檎は海風受けて             石川 香果
暑き午後出かけむとして久々にさす口紅の溶けて折れたり        伊吹 泰子
十歳は若く見えると誉めたれば父は毎日髭を剃りをり          板谷英一郎
雨つづく裏庭少し耕して秋の野菜の種を落せり             福田 美蔭
夕闇はわが病む窓にも広がりて点り初めたり街の灯りは         川上 幸子
変な声で鳴いてゐるねと孫の言ふ夜の川よりひびく牛蛙         松下 恭子
長男は履き良き靴を買ひくれぬ子どものやうにわれは嬉しき       三輪 武士
安保法成立の朝刊仕舞ひ置く今朝の私にできることとし         苫米地和江
バス一本乗り遅れて待つバス停にわが影ひとり長くのびたり       田中 芳子

6月です

2023あじさい6月です、と言いながら、今月も終わりに近くなってパソコンに向かっています。
忙しいわけではないのですが、というより忙しい時の方がいろいろ早く取り組むもので、時間があると返ってだらだらと無駄な時間を過ごしてしてしまう。締切り間近でないとできないタイプと、締切りより早め早めにやるタイプとがあって、完全に前者の私は締め切りが迫ったところで何か問題が発生しては後悔をするという繰り返し。文明鑑賞や小市合評の原稿も早めに提出してくれる方がいて私の帳尻は合うようになっています。ありがたいことだと感謝するばかり。でも、締切りぎりぎりや遅れる方がいると困りながらも、安心する。仲間がいた!とか思ってね。まあ自分勝手なことではありますが…。
今週は久々に東京行きです。編集会と歌会と。もっと行けるといいのですが、年々遠く感じます。(竹内敬子)

「青南」2015年6月号より
 めざめては食べて又寝てめざめては又食べて寝しのみの一日       清水 房雄
 朝刊をポストに入れし音聞こえそれより少し眠り夢見る         清水  香
 又転ぶ歩みを怖れ時かけて静かに杖をつきてあゆみぬ          逸見喜久雄
 君の乗る連絡船は海境をゆっくり近づく凪ぐ海の上を          尾形 冴子
 列なしてよぎりゆきしは何鳥か雲なき空に春を残して          谷河八千代
 五車五車とあつめあつめし書画骨董又五車五車とふり捨ててゆく     海野 美里
 金柑をついばみにくる鵯のせはしく飛び去るせはしく来ては       監物 昌美
 背の懐炉外して母に握らせるただしばらくの温みなれども        吉沢 真理
 不自由になりゆくわれに孫くれし明るい春の口紅をひく         丸山 倫江
 少しだけ遠まはりをし塀越しに臘梅めでつつリハビリに行く       藤原 亘子
 拾ひたる黒き手袋道端のポストの上にわれはのせ置く          堤  雅江
 長い廊下三回行ったり来たりして今日の私の運動終る          吉田 寿美
 草焼きし原を歩めばほつほつと芽ぶき初めしタビラコの青        石田 孝子
 西空へ針のやうなる月残し赤城颪はいづこへか去る           鈴木 晃子
 素人が歌を始めて五十年ひと時増えし友らも減りぬ           岡野 紀美
 修善寺の出湯の奥の竹林に鶯鳴き交ふ上手に下手に           北見 法子
 デッキブラシの音重ねつつ夫と今日雪に汚れしベランダ洗ふ       西谷 時子
 谷川の水落つる音高鳴りて野面に緑よみがへり来ぬ           難波 澄子
 鰤のアラ買ひて大根を引いてくるまだ正月の残り酒あり         森元 輝彦
 うら若き着物姿のとほりゆくさうかけふは卒業式か           釜野 清信
 痺れたる右手支へて夕支度胡瓜一本押し切りにする           外園 治子

◆ ◆ ◆
冒頭三首、この当時九十九歳九十三歳八十五歳の歌。所謂ご老体の歌なのだが、三十一文字に長い時と空間が表れ、暗さに行かない。房雄氏の調べ、香氏の奥行き、逸見氏の構成と三様の個性。齢重ねし熟練の歌と括ったところで長年やればできるというのでもない。学びとりたいのだがそれにも技量がいる、というジレンマ。

5月です

ドクダミ5月です。
とはいえ、もう月末。朝から雨です。今週の天気予報に傘マークが多いなと思っていたのですが、なんと関西はもう梅雨入りしたようです。早いですね。いつものように明けるのが7月半ばとすれば、長い梅雨の始まりです。もう春があって梅雨来てから夏、四季ではないのではないかと思ったりします。梅雨に相応しい一文字を考えても、黴、陰、みたいなものしか浮かばないので、ちょっとなあ。ま、春梅夏秋冬とでもしておきます。
すでにじめじめと暑いのでうんざりも先取り。どうぞ皆さん、負けずにお健やかに。
そして特別歌会お申込みお待ちしています。(竹内敬子)

「青南」2014年9月号より
 午時の休にしばしば歩きけるすずらん通り今日ひとり行く        逸見喜久雄
 朱の薔薇くづほれてゆくかたはらに力みなぎり立つ蕾あり        鈴木 登代
 絶え絶えにやうやく命留めたる都忘れの花の紫             谷河八千代
 梅雨曇り時々雨のきのふ今日玉蜀黍が根づきてそよぐ          長弘 文子
 初生りの莢鮮やかなそら豆が捥ぐ手の中に香りを立つる         山本 靖彦
 晴れながら風吹きやまぬ一日過ぎ母は夕餉の鮭を焼いてる        伊藤 和好
 巣をそこに作るつもりか雀二羽わが家の樋の中に出で入る        今泉  操
 ギシギシとスイバの違ひ聞かれたりよくわからねどこれはギシギシ    監物 昌美
 酷寒のコウテイペンギンの子育てを観つつ思へりヒトは屑なり      平野 明子
 少しづつ部分のこはれゆく日々の自然のことといへどわがこと      堀江 厚一
 逆上し喘ぐ己を冷やかに見てゐる己がそれ直ぐ其処に          横山 昭夫
 対岸の土手下斜面の葦中に雉の番が動かずにゐる            横田 時平
 耕しし土をうるほし小山田に注ぐ田植ゑの水は勢ふ           髙橋  博
 春風に濯ぎ物干す喜びを今日は日記に書き止めておく          堤  雅江
 胸を張り精一杯に背を伸ばし週一回のダンス教室            星 津矢子
 頂きしメロン仏壇にお供へし四日を待ちて夫と味あふ          鈴木 晃子
 そちこちと体の具合悪しくとも留守居は出来ると妻送り出す       新井 久雄
 よろこびて食ふ夫在ればなほさらに楽しく一日を春の野に摘む      鈴木八重子
 草と木の繁るみどりに透き間あり入りてゆきたし蛍とともに       伊東 芳子
 しっかりと思ひ出を話す夫なれどたちまちベッドに眠りてしまふ     佐々木美智子
 梅雨晴れの澄みたる青き空に映え白を極めて咲く夏椿          中西 武子
 土に染みし爪を短く今日は切り駅のベンチに長く待ちをり        小関 辰夫
 庭に咲く紫陽花切りて籠に活け二泊せし子は帰りゆきたり        石川 久恵
 独り居の寂しさ忘れ草抜きし夕べていねいに爪を洗ひぬ         竹田スミコ

Appendix

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青南短歌会

Author:青南短歌会
編集兼発行者:伊藤 和好

埼玉県さいたま市
mail : seinan2010@gmail.com

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